2019/09/03
会社を作ると決めたときに、悩むのが資本金の額です。
今は資本金1円で会社が作れるから、とりあえず1円で作ろうと考えている人、ちょっと待ってください。
そもそも資本金てなんでしょう。
どうして資本金なんて必要なんでしょう。
資本金は、会社を立ち上げるのに必要な元手です。
登記などの会社の設立費用は当然必要です。
設備投資が必要なら、設備を買うためのお金もいるでしょう。
ものを作ったり売ったりするなら、商品や材料の仕入れも必要です。
事務所や店舗を借りるなら、借りる際の初期費用もいるでしょう。
すぐに売上が立たない事業を始めるのなら、何か月分かの運転資金も必要ですし、従業員を雇うなら、売上がなくても給料は払わなければいけません。
会社を立ち上げて、商売が回り始めるまでに必要なお金、それが資本金です。
ですので、資本金1円で会社を作るということが制度上は可能でも、現実的ではないことがおわかりでしょう。
お金がないから資本金1円で会社を作って、必要な分を創業融資で賄えばいいんじゃないか、そう思う人もいるでしょう。
でも、考えてみてください。
会社を立ち上げるのに必要なお金を用意できない人に、融資してくれるところなんてあると思いますか？
日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金を創業に必要な金額の3割くらいは用意できることが融資の目安となっているのです。
まだ実績のない人にお金を貸すのですから、しっかりとした事業計画と、ある程度の自己資金を用意しなければいけないのは当然でしょう。
それに、設立間もない会社と新規に取引を始める場合には、相手は当然その会社の登記情報を参考にします。
そのときに、資本金1円の会社と安心して取引を始められるでしょうか。
そういう会社と取引を始めることについて、私がお客さまにアドバイスを求められたら、止めるか注意を促すかはするでしょう。
資本金というのは、その会社の信用度を測る基準にもなるのです。
ではいくらで、というと事業内容にもよるので難しいのですが、私の場合は300万円を目安にとお答えしています。
これは、かつての有限会社の資本金が300万円だったことから、会社としてきちんと機能させたいのなら、これくらいは用意しましょうという意味でお伝えしているのです。
許認可が必要な事業なら、その要件に資本金いくら以上と定められていることもありますので、必ず調べてから金額を決めてください。
ただ、節税のために法人にするだけ、とか、お客さまが法人ではなく個人という商売の場合には、こんなにはいらないでしょう。
融資を受けるつもりもないなら、債務超過を気にすることもありませんし。
それでも、法人は個人と違って、社会的信用があると同時に、社会的責任も負うべきと考えます。
初期費用も準備できないまま会社を作って、やっぱりうまくいかなくてたくさんの人に迷惑をかけて倒産、なんてことだけにはくれぐれもなりませんように。
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