2019/09/03
わが家は外食好きです。
新潟の単身赴任中の夫を訪ねるときは、ほぼ毎晩外食です。
2人とも待たされるのが嫌いなので、必ず予約してから行くのですが、なぜか夫は必ずフルネームを名乗ります。
最初は後ろで聞いていて笑ってしまったのですが、フルネームを名乗る人は珍しいのか、かなりの確率でお店の人に覚えてもらえます。
そして、たいていは固め打ちするかのように連続訪問するので、3回目くらいからは「お待ちしておりました、山口様」とお店に入った途端声を掛けてもらえます。
先日、新潟で気さくなシェフのおいしいイタリアンのお店を見つけました。
早い時間だったので、他にお客さんもなく、お料理のこと、それに合うワインのこと、いろいろ教えていただいて、最後はデザートをサービスしていただき、楽しくて美味しい時間を過ごしました。
そして1か月後、同じお店を訪ねたところ覚えていてくださって、その上、
「前回奥様は、さんまのコンフィをお召し上がりでしたので、今日はこちらはいかがでしょうか」とお料理やワインまで覚えているという、すごさに感激しました。
まさかそんなところまで記憶しているなんてことはないと思います。この人、前に会ったことあるぞくらいならありそうですが、さすがに注文内容までとなると、きちんと管理しているとしか思えません。
お客さまの名前もしくは特徴と人数、来店日時、注文したものまで、ひょっとするとデータベース化しているのかもしれません。
そして予約した時に、前回の食事内容を確認して、さりげなくアドバイスしているのかも。
こんな接客されては、ファンにならないわけがありません。
そして、ホールの方にメニューのお料理について質問したところ、小さなお皿で少量のお料理を出してくださいました。
「シェフからです。よろしければ、ぜひ次回オーダーいただければと申しております」とのこと。
今の夫の仮住まいからはすぐ近くですが、新潟に移住する予定の家からは車で15分ほどかかります。
夫は、「月1では来ようよ。車で来て、帰りは代行だな」と。
帰り際にレジで、代行頼めるか早速確認してました(気が早い)。
美味しいものを提供していればお客さまは来てくださると思っている飲食店の経営者は少なくありません。
これは、飲食店に限らずすべての業種に言えることです。
「こんないい製品が売れないわけはない」
「素晴らしい内容のセミナーが満席にならないわけがない」
「私の施術は他とは違う。一度受ければ必ずリピートする」
確かに素晴らしいものなのかもしれませんが、それだけではダメなのです。
「美味しい料理」「良い製品」「質の高い施術」
これは大前提なのです。
問題は、これを誰にどうやって提供するかです。
いくら料理が美味しくても、接客が最悪だったり、お店が不潔だったりしては台無しです。
逆に、行き届いた接客と、素敵な内装だったとしても、料理がまずければ二度と行きません。
自分の提供する商品やサービスに自信があるからと言って、胡坐をかいていてはダメなのです。
外食する人が減ったり、ものを買わなくなったりする中、世の中の景気がどうであろうと、元気なお店や会社はあるのです。
それは、その人から買いたかったり、そのお店に行きたいと思わせる努力をしているからなんですよ。
大きな企業と違って、個人でやっている小さな商売は、自分の工夫で様々なアレンジができます。
ファンになってもらって固定客を増やす。
わが家がすっかり虜になったイタリアンのシェフのように、外食というちょっぴり贅沢な非日常に、「お得意様扱い」という特別感を持たせてくれた、それだけで十分リピーターになってもらえるのです。
そして、このリピーターは、値引きや優待のときだけ来る人と違い、値引きなどしなくても定価で商品やサービスを買ってくれるのです。
大企業が撤退していく業種だって、小回りが利く小さな商売だからこそ、生き残りの可能性もあるのです。
知恵を絞って、どんどん試してみてください。
そこに商売の楽しさもあるのです。
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