2019/09/03
先日母と電話していたとき、こんな相談をされました。
定期が満期になって、信金の担当者から生命保険の加入を勧められているというのです。
いったん断ったものの、あれこれ不安を煽るようなことを言われたようで、心配になったとのこと。
信金さんが煽った不安な話を、ひとつひとつ心配いらないことを説明して、どうやら安心してもらえたようでした。
こんな話は要注意
金融機関はお客様の金融資産を把握していますので、いろいろな金融商品を紹介するよい機会をうかがっています。
私も以前、定期預金の解約に銀行に行ったとき、「手続きに時間がかかるのでこちらへ」と別の席に連れて行かれて、ファイナンシャルプランナーと称する人に延々と金融商品の紹介をされたことがあります。
もちろんきっぱりと断りましたが。
今回生命保険を勧めるときの営業文句をちょっとご紹介します。
相続税対策に有利です
生命保険は、「500万円×法定相続人の数」まで非課税です。
ご主人が亡くなって、奥様と子供さんの2人が相続人の場合は、1000万円まで非課税ということになります。
「現金で1000万円で持っているとそのまま相続税がかかりますが、1000万円の生命保険に入れば税金がかからないですよ」
正しいようで正しくない説明です。
以前、相続税の計算の仕方についてブログに書きましたが、相続税がかかるかどうかは、財産が全部でいくらあるかによります。
ですので、現金で持っていたからといって必ずしも相続税がかかるわけではありません。
単なる脅し文句です。
必要もないのに入ることはありません。
亡くなったらお金がおろせなくなります
「口座が凍結されてお金がおろせなくて困りますよ。生命保険なら受取人の口座にすぐに振り込まれますので安心です」
確かに亡くなった方の口座の払い戻しや名義変更にはいろいろな書類が必要なので面倒ですが、亡くなった瞬間に口座が凍結されるわけではありません。
当座の資金を引き出すくらいの余裕はありますし、そうしている方も多いです。
(問題ないとは言い切れませんが…)
新たな預け入れは難しいです
これは母が言われたそうですが、限度額があるとか新たに定期預金の預け入れは難しいとか、そんなことのようです。
言われた本人も内容をよく理解できなかったようですので、正確なことはわかりませんが、とにかく高齢者が理解できないようなことを並べて、生命保険の加入を勧めたことは事実です。
税理士に相談して
私の母は娘が税理士でしたので、こんな不安も相談する人が身近にいて幸いでしたが、世の高齢者には身近に相談できる人がいるとは限りません。
心配ならぜひ税理士に相談してください。
あちこちで無料相談やっています。一般的なことや今回の母のようなちょっとした相談ならこちらで十分です。
こんなこと聞いて怒られないかな?などと思わずに、お気軽にどうぞ。
市民相談やお近くの税理士会の無料相談をご利用ください。
具体的な相続対策や込み入った相談の場合は、無料相談では対応できませんので、税理士にご相談ください。
高齢になると、病気やけがなどで思いがけない出費があることもあります。
旅行をしたり趣味を楽しんだりするにも、お金はかかります。
高齢者に勧める生命保険は、高額な保険料を一時払いして、亡くなったときにほぼ払った保険料が戻ってくるようなものが多いようです。
これらは相続税の節税対策に使われるものです。
当たり前ですが、保険に入れば手元の現金が減ります。
急に必要になった時に、自由になるお金がないという事態も考えられます。
よっぽど手元にお金が有り余っている人なら別ですが、勧められたからといって安易に生命保険に入るのは危険です。
専門家や家族に相談したうえで、よく考えて決めましょう。
☆★☆★編集後記☆★☆★
わが家では、迷惑をかけるほど酔っぱらって帰ってきたときには、寝室以外の場所で寝袋で寝るという決まりがあります。
ただ、迷惑かけるほど飲んでいるときは、酔っ払いがそんな決まりを守るはずもなく、今まで守られたことは一度しかありませんが。